文書作成日:2016/04/19

今年度の地方労働行政運営方針が策定されました

 先日、厚生労働省は「平成28年度地方労働行政運営方針」を策定し、その内容を公表しました。各都道府県労働局は、この運営方針を踏まえつつ、各局の管内事情に則した重点課題・対応方針などを盛り込んだ行政運営方針を策定し、運営していくことになります。そこで今回は、この運営方針の中から「平成28年度地方労働行政の重点施策」をとり上げましょう。

1.平成28年度地方労働行政の重点施策
 平成28年度地方労働行政の重点施策の項目として、以下の項目が挙げられています。

(1)東日本大震災からの復興支援
(2)総合労働行政機関として推進する重点施策
(3)雇用環境・均等担当部署の重点施策
(4)労働基準担当部署の重点施策
(5)職業安定担当部署の重点施策
(6)労働保険適用徴収担当部署の重点施策

2.押さえておきたい重点施策の内容
 上記の6つの項目の中から、特に実務に影響のある事項について、その内容を見ておきましょう。

[雇用環境・均等担当部署の重点施策]
・総合的ハラスメント対策の一体的実施
 いわゆるマタニティハラスメントやセクシュアルハラスメント、パワーハラスメントなど職場におけるハラスメントは、労働者の尊厳を傷つけ継続就業を妨げるもので、決して許されるものではない。しかしながら、近年の労働者からの相談件数は増加傾向にあり、社会的関心も高まっている。また、職場におけるハラスメントは、複合的に生じることも多く、解決することが困難な事案となる傾向が高い。
 このため、雇用環境・均等部(室)において、一体的にハラスメントの未然防止を図るとともに、相談への迅速な対応を行う。

[労働基準担当部署の重点施策]
・雇用環境改善の推進
 平成28年度より、年次有給休暇の取得促進等の働き方改革や無期転換ルールの周知等、労働条件の向上を図るための取組については、雇用環境・均等部(室)で行うこととなる。監督指導や安全衛生指導、労災補償等の業務は引き続き労働基準部で行われることとなるが、両部(室)の連携により、労働条件の向上に向けた総合的な施策を推進する。

・働き過ぎ防止に向けた取組の推進(長時間労働の抑制等の監督指導等)
 長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害を防止するため、「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(平成18年3月17日付け基発第0317008号)に基づき、過重労働が行われているおそれがある事業場に対して、適正な労働時間管理及び健康管理に関する窓口指導、監督指導等を徹底する。また、使用者、労働組合等の労使当事者が時間外労働協定を適正に締結するよう関係法令の周知を徹底するとともに、特別条項において限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を定めていないなどの不適正な時間外労働協定が届け出られた場合には、「時間外労働の限度に関する基準」等に基づき指導を行う。
 特に、各種情報から時間外労働時間数が1ヶ月当たり100時間を超えていると考えられる事業場や長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場に対して、引き続き監督指導を徹底する。
 また、社会的に影響力が大きい企業が、違法な長時間労働を繰り返しているような場合には、是正を指導した段階で公表する。さらに、11月を「過重労働解消キャンペーン」期間として、長時間労働の抑制等過重労働解消に向けた集中的な周知・啓発等の取組を行う。

[職業安定担当部署の重点施策]
・正社員転換・待遇改善(非正規雇用労働者の正社員転換や処遇改善の推進)
 非正規雇用労働者の希望や意欲・能力に応じた正社員転換・待遇改善を強力に推し進めていくため、「都道府県正社員転換・待遇改善実現本部」において、地域の実情に応じて今後5年間の具体的な施策や数値目標を盛り込んだ「地域プラン(地域計画)(仮称)」に基づき、地方公共団体等との連携も図りながら、とりわけ不本意ながら非正規雇用労働者として働く者への対策を強化し、正社員転換・待遇改善の取組の着実な実施に努める。

 今年度の労働基準行政はこのような方針のもとで推進されていきます。そして過重労働対策として、上記の1ヶ月当たりの時間外労働時間数を100時間から80時間へ引下げて監督指導の対象となる事業場を増やしたり、すべての労働局に長時間労働に関する監督指導等を専門に担当する「過重労働特別監督監理官」(仮称)を各1名配置するなどの動きも出てきています。企業としては、改めて労働時間管理のあり方の見直しと生産性の高い業務の推進が求められます。

■参考リンク
厚生労働省「「平成28年度地方労働行政運営方針」の策定について」


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。