文書作成日:2016/06/07

一億総活躍社会の実現に向けて国が示した働き方改革の方向

 先日、一億総活躍国民会議が開催され、「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定されました。ここで決定された内容は従業員の働き方・働かせ方に関わるものもあり、今後、企業の人事労務管理にも影響が出てくると予想されます。そこで、今回はこの内容をとり上げましょう。

1.「ニッポン一億総活躍プラン」で示された3項目
 今回のプランにおいて最大のチャレンジは働き方改革とされており、多様な働き方が可能となるよう、社会の発想や制度を大きく転換しなければならないとしています。そして、具体的に掲げられているものとしては、以下の3つになります。

1)同一労働同一賃金の実現など非正規雇用の待遇改善
2)長時間労働の是正
3)高齢者の就労促進

 まず、1)同一労働同一賃金の実現など非正規雇用の待遇改善については、再チャレンジ可能な社会をつくるためにも、正規か、非正規かといった雇用の形態にかかわらない均等・均衡待遇を確保し、同一労働同一賃金の実現に踏み込むとしています。そして、同一労働同一賃金の実現に向けて、雇用慣行に留意しつつ、躊躇なく法改正の準備を進めることが考えられています。今後の動きとして、どのような待遇差が合理的であるかまたは不合理であるかを事例等で示したガイドラインが策定されることになっており、企業としてはこのガイドラインを受けて対応してくことが求められるでしょう。

 次に、2)長時間労働の是正については、労働の質を高めることにより、多様なライフスタイルを可能にし、ひいては生産性の向上につながることから、いまこそ、長時間労働の是正に向けて背中を押していくことが重要であると考えられています。また、併せて36協定における時間外労働規制の在り方について、再検討を開始するとしています。

 最後に、3)高齢者の就労促進については、今後の労働力確保のためには高齢者の活用がそのひとつとして挙げられます。将来的に継続雇用年齢や定年年齢の引上げを進めていくために、企業の自発的な動きが広がるよう、65歳以降の継続雇用延長や65歳までの定年延長を行う企業等に対する支援を実施していくとしています。

2.今後、影響が出てくると予想される「同一労働同一賃金」
 先日、定年退職後に嘱託として再雇用されたとしても、業務の内容や責任が同じであれば賃金を下げるのは違法であるという判決が、東京地裁で言い渡されました(長澤運輸事件)。労働契約法第20条では、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を禁止しており、今回のケースはこれに違反したという形になっています。

 上記1.の1)で同一労働同一賃金の実現が謳われていることからも、今後においてこの「同一労働同一賃金」に注目が集まり、例え定年後の再雇用制度を利用したものであっても賃金を下げることについて労使トラブルが増えていく可能性があります。

 企業としては、このような国の方向性があることを押さえた上で、「同一労働同一賃金」の動きにも注視しながら労務管理を行っていくことが求められます。

■参考リンク
首相官邸「「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月2日閣議決定)」


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。