文書作成日:2016/07/14


 坂本工業では、これから夏休みとなることもあり高校生をアルバイトとして雇用することを考えていた。そこで、労務管理上の注意点を社労士に確認することにした。

 まもなく夏休みとなるので、学生をアルバイトとして採用しようと思い、ちょうど面接をしているところです。

 そうでしたか。 採用は決まりそうですか?

 えぇ、無事、数名の採用が決まりそうです。いままでアルバイト採用については大学生やフリーターを採用していましたが、今回は、夏休み中の高校生もアルバイトとして採用しようと考えています。高校生ということで注意すべき点はありますか?

 まず高校生(満18歳未満の年少者)を採用したときであっても、雇用契約は本人と締結することになります。

 未成年であっても本人と締結するのですね。その際、親など保護者の同意を取っておく必要があるのでしょうか?

 はい、同意を取っておく必要があります。民法第5条で法定代理人(親権者等)の同意が必要とされています。なお、労働基準法では児童(満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者)については、同意に関する書面の備え付けが義務づけられていますが、年少者にはそこまでは求められていません。

 なるほど。年少者と児童で取扱いが異なるのですね。

 そうですね。同意の書面については備え付けが不要ですが、年少者については、年齢を証明する書面を備え付けておく必要があります。例えば住民票記載事項証明書を用意しておくことになります。

 ということは必ず年齢を確認しておくことが重要ですね。

 はい。そして先ほど、雇用契約は本人と締結することになるとお話しましたが、賃金についても本人に支払うことになります。本人の同意により銀行振込で給与を支払う場合であっても、親ではなく必ず本人の銀行口座を用意してもらうようにしましょう。

 わかりました。

 次に、労働時間に関しても注意点があります。まず、時間外労働や休日労働(1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超える労働)はさせることはできません。また、例外を除いて変形労働時間制を適用することもできません。

 なるほど。労働時間については、法律の原則を適用し、残業させることができないということですね。それでは、法定労働時間内に収まっているが、夕方から出勤し、深夜まで働いてもらうということは可能でしょうか?

 原則として年少者については、深夜労働(午後10時から翌日5時まで)についても禁止されています。ただし交替制で勤務する満16歳以上の男性等の、一部については、例外として認められています。

 当社では交替制での勤務を行っていないので、今回、高校生をアルバイトとして雇用するにあたっては、残業や深夜労働ができないということを認識しておく必要がありますね。これは、現場の管理職にも、事前に伝えておくことが重要ですね。木戸部長、しっかりアナウンスしておいてください。

 わかりました。

 次に従事する業務に関しても注意点があります。具体的には重量物を取扱う業務について就業制限が設けられており、また安全上、有害業務として掲げられている業務についても就業制限があります。こちらも該当するものがないか、業務に従事する前に確認しておくべきですね。

 わかりました。大学生やフリーターをアルバイトとして雇用する場合と、取扱いが異なることが分かりました。ポイントを整理して、問題なく勤務してもらえるように準備を進めたいと思います。


>>次回に続く



 今年5月に、厚生労働省より「高校生に対するアルバイトに関する意識等調査結果」が公表され、対象者1,854人のうち、労働条件を示した書面を交付されていないものが6割を占めていました。また労働条件に関するトラブルについては、対象者の約3割で何らかのトラブルがあったと回答し、労働基準関連法令違反のおそれがあるものとして、以下の内容が挙げられています。
〔労働基準関連法令違反のおそれがあるもの〕
・1日に労働時間が6時間を超えても休憩がなかった
・働いた時間分の全てがアルバイト代に計算されていない
・準備や片付けの時間に賃金が支払われなかった
・1日8時間、1週40時間を超える労働について、割増賃金が支払われなかった
・本来禁止されている深夜労働や休日労働をさせられた

 まもなく学生アルバイトを雇用する企業も出てくると思われます。労働条件通知書等を交付し労使トラブルがないよう労務管理を行いたいものです。

 

■参考リンク

厚生労働省「高校生等を使用する事業主の皆さんへ〜 年少者にも労働基準法等が適用されます! 〜」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040330-8a.pdf

厚生労働省「高校生に対するアルバイトに関する意識等調査結果について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000124502.html

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。